September 28th, 2024 by

【ゴスペルが聞こえる】
目醒めたときの気分は最悪でしたが、あの時目にした情景が私の脳裏にこびりついて離れないのでした。
夕陽をいっぱいに浴びたレースカーテンのような長く赤い髪が、私の視界の端で艶めかしく揺れていたのを鮮明に憶えています。
混濁した意識の中、彼女は両の手で私の頬を優しく包み込み、耳元で囁きました。
「ぉkえり…なsい。また再会できtこと、喜ばしく思うわ。」
「あなたを、待っていたの。」
「……」
私が落ち着くまでの間、彼女は可憐な笑みを浮かべたまま隣で寄り添ってくれました。
暫くして平衡感覚が戻ったので肩を借りてヨロヨロと立ち上がりました。
「案内したい場所があるの。歩けそうかしら?」
状況を飲み込めずに立ち尽くしていた私を暫く見つめたあと、彼女は踵を返し目的地まで歩き出しました。
歩みを止めた彼女のほうをを見やると、視界の先には、木漏れ日に照らされた古びたチャペルが寂しそうに佇んでいました。
ツヅリ:
ヨハナは私なんかと違って、なんだってそつなくこなしてみせる。
私の空白が埋まる日は訪れるのだろうか?

【少女性】

【少女性:爛れ】
ツヅリ:
風景が溶けていく。
またあの匂いがした。
瞼の奥で、彼女が静かに微笑んでいた。